1か月の変形労働時間制を採用している事業所で、従業員Kからつぎのような質問を受けました。

「先月は有給休暇3日使用し、所定労働時間が減少した中で、残業をした。しかし、残業手当が自分の計算より少ない。」

と言うのです。
この事業所では、従業員Kにおける、先月の所定労働時間は(7.5H×23日= 172.5H)、法定労働時間は177.1H、実労働時間は156.5Hでした。(所定労働時間計算上の1日あたり所定労働時間は7.5Hです)
従業員Kの計算によると、割増賃金が発生する境界時間は、法定労働時間177.1H-(7.5H×3日)=154.6Hとなり、実労働時間と境界時間の差、156.5H-154.6H=1.9Hは割増賃金の対象となる、
という主張です。(Hは時間です)
(ここでは、日毎、週毎の時間外計算では法定時間外勤務はないという前提です)

みなさん、いかがでしょうか?お考えください。
一見、従業員Kの主張は道理だと思われるかもしれませんが、割増手当が必要になるのは、所定労働時間を超え、かつ法定労働時間をも超過した勤務があるときです。

そこで、月間の法定労働時間は、週40時間勤務として、31日の月は、(40÷7)×31=177.1Hです。この177.1Hは、有給休暇の取得があったからと言って、減少することはありません。従って、今回の従業員Kの実労働時間は、法定労働時間を超過していないので、割増手当は支払われないということです。(給与規定にもよりますが、法定内労働時間で、所定労働時間を超過した時は(割増手当のない)通常の賃率での時間外手当が支払われると思います)